クワドラチャDDSがだいたいできたよ

2月からなんにも投稿してないのは、いよいよクワドラチャDDSをやってたからなのです。あと数日か一週間で完成ですが、ゴールデンウィーク過ぎると暇がなさそうなのでここでアップします。

画像


見た目はこんなものです↑。心臓部はSpartan3と高速な2チャンネルDACです↓。

画像


と、これだけ載せても意味無いなぁ。
仕様はつぎのとおりです。

出力信号: サインおよびコサイン
出力周波数: -11 MHz~+11 MHz
周波数分解能: 0.025 Hz
FM変調感度: 100 Hz/V~1 MHz/V
FM変調帯域: 10 kHz

ということで、特徴はサインとコサインが出ているので、ディジタル信号処理で今日不可欠な複素変調・復調の実験に使えるということです。目的は授業の教材なので、周波数設定がゼロヘルツをまたいで正負に設定できるようになっていて、サイン・コサインをオシロスコープでXY表示すると、正負の周波数が左右の回転に対応していることが実感できます。

一ヶ月以上かかっていたのはほとんどFPGAのプログラムでした。
鳩歩堂はアナログ技術をやってきたうえに、職場にディジタル信号処理をやっている人は一人もいません。みんな精密機械とかAFMの人たちなので、ツールもなければ教わる先輩も居ないということで、独学でやってるのでなんでも時間がかかってしまいます。

シミュレータの類はほとんど持っていませんから、CICフィルタが設計できません。今回はFM信号を取り込むADCのサンプリング周波数を約100 kHz、出力のサイン・コサインのサンプリング周波数を100 MHzとしているので、1000倍にオーバーサンプリングしてから変調をかける必要がありました。そこにCICフィルタを使わないで7段5種類のFIRフィルタを使いました。バカ正直といえなくもないですが、次のところにちょっと気になることが…

周波数が低いほうから5段は1個ずつ乗算器を使います。最後の2段は5タップの2倍オーバーサンプリング用FIRフィルタで乗算器をケチって加算器だけで構成してあります。最初の128タップ4倍オーバーサンプリングのフィルタだけが急峻がカットオフ特性で、残りは折り返し歪に相当する周波数だけ十分な減衰量になるように設計してあります。

とくに最後の5タップ2倍オーバーサンプリング用FIRフィルタというのは、係数が1:4:6:4:1の比になっていて、1,6,1のセットと4,4のセットを交互に使うというものですが、非常にだら~っとしたカットオフ特性になっています。ということは、CICの設計思想、つまり乗算器を使わないだら~とした肩特性だけど折り返しのところだけはきっちり減衰しているフィルタと、低いサンプリング周波数のシャープカットなフィルタを組み合わせるという思想ですが、それにそっくりです。CICが設計できる環境があったら苦労しないし乗算器をもっと節約できたのにね。

それにVHDLでやってきたのにVerilogに手を出したため、加算器の記述で桁取りを適当に書いたら2週間もバグが取れなかったりしました。

また、ボードから開発しているので目的にぴったりのものができるのですが、その反面ボードの設計、それも意匠設計まで全部やりますから、時間がかかります。ボードが自作でしかも両面基板なので、BGAパッケージは使えません。そうするとFPGAのスライス数があまり大きいのは使えません。

位相をサイン・コサイン変換するところは乗算を使わないで十分な精度を出すため、CORDICを使いました。サインとコサイン同時に出るからけっこう便利なんですけどね。今回のDACは12ビット幅なので12段のパイプラインにしました。

しかしいい勉強にはなった。今後この経験を生かして液中AFMのシグナルジェネレータとロックインアンプをディジタル化したいと思います。さらに真空AFMのFM検波をディジタル化したい。

でもチューリッヒインスツルメンツの売ってるものって、SGと複素信号処理による位相・振幅検出(ロックイン)とかFM検波とかを組み合わせたものだから、発想はほとんど同じなんですけどね。というか、ディジタル信号処理の体験キットみたいなもので、内容的には珍しい処理は何もないんだけど、ニッチな市場にタイミングよく投入できたかどうかということみたいな気がします。鳩歩堂も8年前には将来のAFMの信号処理はアレだな、と考えてたのになぁ。日本ではその発想をどうやったら事業化できるかというイメージすら湧きませんもんね。大学発ベンチャーなんていったって身近に例がなんにも無いもんな。

ということで、自作すると勉強にはなるんだけど…すでに売ってるものと同じ構造のものを一人で開発しているというのは、やる気が萎えないようにする方が開発自体よりしんどいかも。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック