トランスの漏れ磁束に注意

前の記事「電源回路のグランドパターン」で50Hzまたは60Hzのノイズはシールドが悪い場合に出ると書きましたが、電源トランスの漏れ磁束を拾う場合もあります。

電源トランスの漏れ磁束が回路に絡むと、当然ハムノイズが入ります。
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こういう低周波数の磁束はシールドが効きません。導体で囲ってもあまり効果がありませんし、鉄の箱に入れても完全には防げません。

回路をトランスから離すのがもっとも確実だと思います。それが難しい場合は基板を磁束に対して垂直に配置するだけでも軽減されると思います。電源回路から電子回路までの電源配線にも注意を要します。

安定化電圧とグランドの配線が離れていると、その間にトランスの漏れ磁束が絡む危険が高くなります。
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リボン線やツイスト線を使って、トランスの近くを通らないように配線するといいです。リボン線は安定化電圧とグランドが囲む面積が微少なので磁束の影響が少なくなります。ツイスト線を使えば、線間が接近している上にツイスト半周期ごとに磁束の影響が反転するので、磁束の影響はほとんど無くなります。
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ところが、このような対策をしても、電源基板のグランドパターンが筐体に接続されていると、潜在的なグランド配線というか、面的広がりを持ったものですが、安定化電圧の配線との間に磁束が絡むループを形成してしまいます。
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電源基板のグランドパターンを筐体に接続するのは、かえってトラブルのもとになることがあります。鳩歩堂は、グランドを筐体に接続する位置は電源基板ではなく、電源の需要地で筐体に落とす方が良いと考えています。

以上の話は漏れ磁束があるから生じる悩みなのであって、トロイダルトランスを採用すればほとんど磁束が漏れません。
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青いトランスが並んでいます。これは漏れ磁束に悩まされたのでトロイダルトランスに変更した例です。

上の写真のトランスはRSコンポーネンツから買いました。インドで製造されているようです。このトランスが入ってくるボール箱には、端子が曲がらないようにスペーサーとして、手作業で十字型に切ったような段ボールの切れ端が入ってきます。インドの誰かが内職で作っているのでしょうか。性能の方はたいへんよく、端子のピッチも正確です。ただ、このトランスは一次電圧が115Vなので、15%程度高めの二次電圧の製品を選ばなければなりません。

RSコンポーネンツのカタログには海外製のトロイダルトランスが沢山載っているのに、トヨデンや菅野やノグチトランスなどなど国産の汎用電源トランスはほとんどEI鉄心を使ったものばかりなのは、どうしてでしょうね。

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この記事へのコメント

fうぇghrg3
2011年06月10日 14:33
>海外製のトロイダルトランスが沢山載っているのに、
>トヨデンや菅野やノグチトランスなどなど国産の汎用電源
>トランスはほとんどEI鉄心を使ったものばかりなのは、
>どうしてでしょうね。

「これまで培ってきた技術」の上にあぐら
をかいて技術革新を怠ってたら、いつのまにか海外勢に追い
抜かれていた…
…という構図は、上記3社に限らず日本の製造業全体に当て
はまる事ですね
RSにしてもDigi-Keyにしても、海外の部品通販サイトを見て
いると、そのことを痛感させられます
2011年06月12日 06:31
出身が長野県の諏訪なのですが、以前は小さいトランス屋さんがいっぱいあって地元企業の需要をまかなっていました。全国平均よりずっと集積していた地域だと思います。しかしだんだん廃業して数が減っているそうです。

日本はそういう零細企業が早くから発達していたのが、かつては強みだったのが、かえって大規模な設備投資が遅れる原因になったのかも知れません。町工場が廃業してしまった後をどう再編していくか。トランスに限らず重要な課題だと思います。

インド製のトランス(本社はヨーロッパだと思いますが)は、トロイダル巻線機を大量に並べて規格品を作っているだけで、技術的にそんなに高度なわけではないと思うのです。たとえば日本の大きいトランスメーカーのように矩形断面の巻き線が作れますという方が技術は高い。でも町工場のEIコアのトランスよりはあのインド製の方が技術的には新しいので性能が良く、世界シェアをとれば立派な産業になるということなんだと思います。韓国企業の投資力というのも似たような話かも知れません。技術じゃなくて商売で負けているという。

日本は産業が興しにくいんでしょうか。少なくとも自分は、もしトロイダルトランスを世界に売ったら商機があると気が付いていたとしても、起業する勇気がありませんしやり方もよくわかりませんが、日本人の多くがそう感じるだろうと思います。そう感じるというのがすでに起業しにくい国なのでしょうか。このへんは海外と比較できる立場にないのでわかりませんけど。

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