1.5Vで動作する回路

小中学生向けに世界一簡単なライントレーサを作ろうと思います。

以前、大学の電気工学科の1年生に電気工作を初体験させるため、世界一簡単なライントレーサー(のつもり)を2001年頃に設計しました。2個のCdSが床に引いた黒い線を検出し、左右に付けたタイヤの速度がそれによってコントロールされ、ラインをトレースするというものです。マイコンを使わず、IC1個、トラジス他2個という簡単なもの。

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オペアンプは2個入りCMOSでRail-to-rail出力のものを使用。下側のオペアンプはシュミットトリガとRCの積分器をループにした発振器です。上側のオペアンプをコンパレータとして使い、発振器の積分器から取り出した三角波(正しくは充放電曲線なので曲がった三角波)と、2個のCdSの分圧点の電位を比較します。分圧点の電位が変わるとコンパレータの出力パルス幅が変わります。2個のモータはそれぞれコンパレータ出力がHiとLoの時に電流が流れるようになっているので、片方のモータが遅くなると他方が速くなります。この回路の電源電圧は3V以上必要です。

これを設計したときには鈴商でミニチュアのギヤードモータが1個300円くらいで売られていたため、その年は安く済んだのですが、そのモータは出物だったため、次の年は買えず、正規の値段だと何千円もすることがわかりました。そのため、次の年からタミヤの安いギヤードモータを使ったということですが、最初の年のきびきびした動きには及ばなかっただろうな。

さて、今回また、こんどは小中学生向けに設計しようと思い立ったのは、携帯電話用の振動モータが2個100円くらいで買えるので、それと歯ブラシを組み合わせてゲジゲジと動くライントレーサができるじゃん!と気が付いたのがきっかけ。秋月に現在3種類の振動モータが出ているようですが、1.3V動作というのがあります。電池1個で動くのもコンパクトでかわいいだろうということで、なんとか1.5Vで動作する回路を考えたい。1.5Vで動くオペアンプがいくつかあるようですが、特殊な部品でなくそこいらで売っている部品で作りたい。

ということで、最初は2個のCdSと2個の固定抵抗によるブリッジのバランスを差動増幅器を使って検出、などと考えたのですが、共通エミッタに定電流回路を付けるほどの電源電圧の余裕がないため、どうにもうまく動きません。けっきょく、CMOSのインバータと同じ構造をバイポーラトランジスタで構成したらうまくいきました。左右のモータの速度は徐々に変わるのはあきらめて、左右のどちらかがフルスピードで回ればいいことにします。

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電源電圧が1.3Vあたりまではベースに抵抗を入れなくてもベース電流がそれほど大きくならないのですが、2Vにもなると抵抗なしではベースが破壊してしまいます。CMOSはゲート電流が流れない点、そういう不具合が起こりません。それともう一点、バイポーラトランジスタの方が伝達コンダクタンスが大きいというか、ベース電圧が大きくなるとベース電流だけでなくコレクタ電流も極端にエスカレートしてしまうため、ベースに抵抗を入れて制限する必要があります。

ところで、この設計には回路シミュレータを使いました。普段回路シミュレータは周波数特性の計算にしか使っていませんでしたが、今回はじめて波形のシミュレーションのありがたみを実感。ちなみにブルーバックスに添付されていた小さいCDROMのCircuitMakerという古いソフトです。もう10年くらいこれでやってますが、十分役に立っています。

小型モータを回すところまでは実験してみましたが、振動モータはまだ入手していません。試作器ができたらまたアップします。

ところで、この「CMOSインバータ的回路構成だけどバイポーラ」という回路は、電池1個という意味で魅力があります。むかーし、CMOSインバータに抵抗でフィードバックをかけてヘッドホンアンプを作ったことがありましたが、やればできるというだけで性能には期待できないテクニックです。しかし1.5Vで動くアンプということになると、案外こんな回路のほうが正解かも知れません。とはいうものの、差動増幅が使えないと言うことは、オペアンプのように比較とか引き算ができないので、アンプか発振器くらいしか作れないかも知れません。そんなわけで水晶発振器を作ってみました。

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定数は最適かどうかわかりません。1.4Vまでは発振が始動できました。この発振器はシングルのものよりも波形の対称性が良いです。

ベース抵抗で伝達コンダクタンスを下げたといっても、DCでの話で、交流だけ増幅したり発振させればいい場合はけっこう1段あたりのゲインが取れるのではないでしょうか。

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