Walki Jockeyの回路1:昇圧回路

Walkie Jockeyの回路を紹介します。

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主要部はスイッチングレギュレータ制御IC, NJM2369とトランスと整流回路です。このCD-CDコンバータの際立った特徴は正負の倍電圧整流(2段コッククロフト昇圧回路)を使い、正負の同一電圧を発生するようになっていることです。NJM2369は昇圧型またはフライバック型の制御用ICです。そもそもフォワードおよびフライバックDC-DCコンバータはどんな動作をするか次の図でおさらいすると……

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スイッチ素子がたとえばデューティ40%の期間ON、60%の期間OFFを繰り返しているとします。電圧波形はトランスの1次側も2次側も(2次側は巻線のどっち側を接地するかによって極性が異なりますが)ONの期間とOFFの期間の面積が等しくなるので、OFF期間の電圧がON期間の6分の4(3分の2)になります。フライバック型とフォワード型のDC-DCコンバータはそれぞれ2次側のスイッチOFF期間およびON期間を整流してDC電圧を得る方式です。

Walkie Jockeyではこれに対してトランスの2次側は倍電圧整流になっているので、波形のpeak-to-peak電圧つまりON期間とOFF期間の両方を使っています。また、電圧極性が異なる2組の倍電圧整流を組み合わせることで、正負のDC電源を得ます。原理的に正負のDC電圧は一致します。完全に一致するのは負荷電流が正負で等しい場合に限るとは言うものの、もともと同じAC電圧の両振幅をDCに変換したものなので、本質的に大きく異なることがありません。

ただし制御ICは2次側で作り出された正のDC電圧を分圧して所定の電圧と比較することでデューティー比を変化させ、それによってOFF期間の電圧を制御するようにできているので、2次側の正電圧だけを分圧してフィードバックするのが簡単です。しかしそうすると、正電圧の方はほとんど負荷電流が流れず負電圧の方だけ流れている場合に負電圧だけ下がってしまい、それに制御ICが気づかないということが起こります。ICの左側にあるカレントミラーは負のDC電圧からの電流を極性を反転してフィードバック回路に注入するための回路です。こにれよって正負のDC電源から半分ずつフィードバックされるようになり、どちらかの電圧が下がるとフィードバックが働いて電圧が回復します。このとき負荷電流が小さいほうの電圧が高騰するかというと、そこはもともと同じAC電圧を整流しているため、だいたい同じ電圧が維持されます。

カレントミラーの右側のコレクタ電位はICの基準電圧に等しく、このICの場合は0.52Vだったと思いますが、左側のコレクタ電位は-0.52Vかというと、本質的に異なる電位になっています。これは本当は-0.52Vでなければ正負のDC電源からの寄与が平等でないことになりますが、1次側の電源電圧が2次側DC電圧に対して十分に低い場合(出力電圧VHPとVLPは±236Vなのに対しVBATは4.5Vから6V)、影響は少ないです。

それから、この方式はフォワードタイプの要素を持ちますが、フォワードタイプは教科書的には2次側の整流回路がリアクトル(コイル)インプットになっているものです。しかしこの回路では2次側に申し訳程度の抵抗が挿入されています。このアプリケーションでは2次側の電圧が200V以上あるのに対して電流がわずか10mA程度です。電流が小さいのでインダクタンスで電流を一定に保つには非常に大きいインダクタンスが必要になってしまいます。一方抵抗で電流制限することによって数Vの電圧降下があっても全体の電圧が高いのでエネルギーのロスはわずかです。こういう用途では抵抗で制限するので十分な性能が出ます。フォワードタイプがリアクトルインプットでないと出力電圧が変化させられないことになりますが、それはフライバック要素の方で行うことになります。

2次側には11ターンのもうひとつの巻線があり、±約10VのVLPとVLNを作っています。これはWalkie Jockey内のオペアンプやMOSFETのゲート駆動電圧を得るための補助電源です。負荷電流が必要ないときにDC-DCコンバータを動かしていると効率が悪いので、マイコンからの指令で左上のMOSFETを介してDC-DCコンバータの運転・停止を制御できます。

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