クワドラチャDDSを作ろうと思う(そもそもなんで)
そもそもなんでクワドラチャDDSをつくろうということになったかという、その前にあったアナログ版光通信実験セットの紹介。
今の大学生は子供の頃からハイテクマシンに囲まれてますから、自分は作れないけど装置は動いて当然と思う習慣がついています。学生の実習に市販の装置やハイテクに見える装置を使うとその習慣が出て、実習した内容が頭に入らないだろうと思われます。そこで基板とパネルだけの手作り感を残したセットにしました。
こういうのが3種類、3班分あります。LEDとPDはブックエンドや虫眼鏡を工夫して取り付けてもらいます。
さて、これはもともと光をチョップするというイメージで始めたためLEDの変調信号が方形波です。VFコンバータのAD654で作っています。500 kHzくらいまでわりと安定に出せるので便利です。
ところがスーパーへテロダインもやてみようということになりました。RFが方形波だからLOもAD654による方形波にしたのですが、やはりスーパーへテロダインを方形波でやるというのはいろいろ問題があります。高調波の差周波数がIF周波数(450 kHz)に一致すると弱いながら受信できたりして説明が面倒という欠点もあります。
そういうことで、まず正弦波にしようと思いました。正弦波の周波数を自由に変えるとなると、思いつくのはファンクションジェネレータのICかDDSです。DDSは本腰入れて取り組まないといけないので、まずは秋月で最近売っているXR-2206CPを買ってみました。昔ながらのチャージポンプと波形整形ですが、三角波を正弦波に変換するのは差動のトランジスタ1組でやっているようで、それが多角形近似よりも正弦波らしい波形を出します。
それを広帯域90°移相回路(アナログ式ヒルベルト変換器)に通してサイン・コサインに分けようというわけです。周波数は100 kHzから500 kHzなので、広帯域90°移相回路の位相誤差もさほどではないでしょう。
100 kHzのときの波形。
500 kHzでの波形。
なんか使えそう。と、思うでしょう。
ところがXY表示にしてみると、100 kHzはたしかにそこそこなんですが、
500 kHzではこんなに位相も波形も悪化していました。
そんなわけで、クワドラチャDDSに踏み切ったというわけ。学生の教育に人件費かけ過ぎとお思いでしょうか。
実はPM方式やFM方式のAFMの制御系をディジタル化したいという思惑が以前からあったのです。クワドラチャDDSと位相検波(FM検波の場合もあり)を組み合わせたものを作ると、高価なシグナルジェネレータと高周波ロックインアンプが排除でき、制御装置がコンパクトにって操作性も良くなる(これは設計のセンス如何ですが)という予定があり、その重要な一部としてこの経験が生かせるわけです。
最終的にはZ軸のPI制御もディジタル化したいと思います。今回のクワドラチャDDSではFM変調信号のサンプリングはDDSのクロックと同じ100 MHzでもいいのですが、あえて100 kHzでサンプリングしてディジタル回路で1000倍にオーバーサンプリングするというのは、PI制御のような遅い制御も将来取り込みたいからなのです。
今の大学生は子供の頃からハイテクマシンに囲まれてますから、自分は作れないけど装置は動いて当然と思う習慣がついています。学生の実習に市販の装置やハイテクに見える装置を使うとその習慣が出て、実習した内容が頭に入らないだろうと思われます。そこで基板とパネルだけの手作り感を残したセットにしました。
こういうのが3種類、3班分あります。LEDとPDはブックエンドや虫眼鏡を工夫して取り付けてもらいます。
さて、これはもともと光をチョップするというイメージで始めたためLEDの変調信号が方形波です。VFコンバータのAD654で作っています。500 kHzくらいまでわりと安定に出せるので便利です。
ところがスーパーへテロダインもやてみようということになりました。RFが方形波だからLOもAD654による方形波にしたのですが、やはりスーパーへテロダインを方形波でやるというのはいろいろ問題があります。高調波の差周波数がIF周波数(450 kHz)に一致すると弱いながら受信できたりして説明が面倒という欠点もあります。
そういうことで、まず正弦波にしようと思いました。正弦波の周波数を自由に変えるとなると、思いつくのはファンクションジェネレータのICかDDSです。DDSは本腰入れて取り組まないといけないので、まずは秋月で最近売っているXR-2206CPを買ってみました。昔ながらのチャージポンプと波形整形ですが、三角波を正弦波に変換するのは差動のトランジスタ1組でやっているようで、それが多角形近似よりも正弦波らしい波形を出します。
それを広帯域90°移相回路(アナログ式ヒルベルト変換器)に通してサイン・コサインに分けようというわけです。周波数は100 kHzから500 kHzなので、広帯域90°移相回路の位相誤差もさほどではないでしょう。
100 kHzのときの波形。
500 kHzでの波形。
なんか使えそう。と、思うでしょう。
ところがXY表示にしてみると、100 kHzはたしかにそこそこなんですが、
500 kHzではこんなに位相も波形も悪化していました。
そんなわけで、クワドラチャDDSに踏み切ったというわけ。学生の教育に人件費かけ過ぎとお思いでしょうか。
実はPM方式やFM方式のAFMの制御系をディジタル化したいという思惑が以前からあったのです。クワドラチャDDSと位相検波(FM検波の場合もあり)を組み合わせたものを作ると、高価なシグナルジェネレータと高周波ロックインアンプが排除でき、制御装置がコンパクトにって操作性も良くなる(これは設計のセンス如何ですが)という予定があり、その重要な一部としてこの経験が生かせるわけです。
最終的にはZ軸のPI制御もディジタル化したいと思います。今回のクワドラチャDDSではFM変調信号のサンプリングはDDSのクロックと同じ100 MHzでもいいのですが、あえて100 kHzでサンプリングしてディジタル回路で1000倍にオーバーサンプリングするというのは、PI制御のような遅い制御も将来取り込みたいからなのです。
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