工具の脱磁(鳩歩堂流)

先日TEM-AFMのコントローラ一式を受注。
といっても研究室内でのこと。これが商売ならおいしいんですが。

それで本日はカットオフ周波数可変2chフィルタの基板に部品を実装していました。積層セラミックコンデンサの足をニッパーで切ったらニッパーがいつの間にか着磁していて、切りくずがくっついてしょうがありません。

そこで本日は脱磁の話題。
(ところで消磁は脱磁と違うのでしょうか?)

先刻ご承知のとおり、強磁性体にはヒステリシス特性があり、そのヒステリシスカーブをBHカーブと言ったりします。

起磁力Hがゼロに戻っても磁束密度Bがゼロになりません。つまり着磁してしまいます。起磁力がゼロの時に残っている磁束密度が残留磁束密度です。

また、磁束密度をゼロにするには逆方向の起磁力をかけないといけません。磁束密度がゼロになる起磁力を保持力といいます。

それではちょうど保持力に相当する起磁力をかけてやれば脱磁するかというと、実際にjはうまくいきません。工具の保持力が不明なうえに、どの部位にも同じ起磁力を与えるとは不可能です。

しかし、Hの振幅を徐々に小さくしていくことによって残留磁束密度をゼロに収束させることができます。

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電磁石でそれを自動的にやってくれるのがありますね。ホーザンなんかで売ってます。でも鳩歩堂が持っているのはもっと安いやつです。

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+の方に工具を入れると着磁し、-の方に入れると脱磁します。着磁の方は単に強い磁石が入っているんだと思います。脱磁の方はSNSNSNというような磁石が入っているんだと思いますが、開けてみたことがないのでわかりません。しかしこの道具、ドライバーにビスがくっつかない程度には脱磁しますが、積層セラミックコンデンサの足がくっつかなくなるほどには脱磁しません。

これはネオジ鉄磁石を片方はS極、他方はN極を前に向けて取り付けた円盤です。

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100円のミニミニ扇風機の羽根のかわりに取り付けて回転させ、工具を徐々に遠ざけながら脱磁するという趣向だったのですが、工具がすぐに磁石にくっついてしまって具合が悪かった。現在はもっと原始的な方法でやってます。

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ネオジ鉄磁石をテープで机に固定。磁極の間が適当に長い方がやりやすいので、磁石は2個とか3個くらいつけましょう。その上で工具を激しく振りながら遠ざけていきます。

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これでかなり脱磁されますが、完璧にはされません。ひとつの問題は手動なのでBH平面上であまり細かいスパイラルを描いているとはいえず、B=0じゃないどこかに収束しているのだと思います。

もうひとつの問題は、すべての部位で同じように着磁されているとは限らないことです。ドライバーの用に細長い物は先端だけ脱磁しても、根本とか中間とかが着磁したままということがあります。

が、ドライバーはたいてい先端を意図的に着時したから着磁していることが多く、ニッパーなどもたまたま先端に磁石がくっついてしまったということが多いと思いますので、次の工程に進めばなんとかなることが多いです。

最後の工程。ぶったたきます。

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うまく叩くと積層セラコンの足もくっつかないくらいに脱磁されます。永久磁石といえば磁石鋼が主流だったころは、磁石を落とすと磁力がなくなるよ、なんて言ったようですね。フェライト磁石主流の時代には落とすと割れましたけどね。

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