ハトメの効用

現在は4層以上の基板が普通に使われるようになっています。P板ドットコムではデフォルトでも両面スルーホール基板に両面グリーンレジストと部品面シルクが標準ですね。昔むかしは費用を節約するために出来るだけ片面にした、というか、片面で十分なくらい実装密度が低かったともいえますが、適宜ジャンパーを使うことで片面基板を使う場合が多かった。

片面基板は筐体に取り付けてしまうと、部品面には銅箔がないので、電線をはんだ付けしたりするには不便です。そもそも安く作りたいので端子など使いたくない。そんなときにはハトメが便利です。

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タマゴラグとハトメが合体した、ハトメラグというものもあります。ラグ版を作るための部品ですね。真空管時代にはいっぱい使われてました。でも部品面から電線をはんだ付けするだけなら普通のハトメで十分。というよりも普通のハトメの方が適しています。マックエイトの金メッキされたハトメの写真を載せましたが、キリンス仕上げので十分です。

鳩歩堂のところでは基板加工機(LPKF製)で両面基板も作れます。でも片面の方が作業工程が少なくて楽です。だから出来るだけ片面で、ジャンパーも必要ならどんどん使うという方針です。そういう基板では時にハトメを使うことがあります。

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手前の3箇所はAC200 V+200 Vを接続するためのハトメでです。ケミコンに丸いシールがはってあるのは、ケミコンのアルミケースに高電圧がリークして、触るとしびれることがあるため、絶縁のために貼ってあるのもです。

両面でもハトメを使うと便利な場合があります。

鳩歩堂のところでも、CPLDやFPGAを搭載するとなるとさすがに両面基板を使う場合が多いですが、スルーホールが自前で出来ません(LPKFではスルーホール加工用の装置も売ってるが我々のところでは持ってない)。スルーホールのかわりに細いハトメを使うという話では、じつはありません。というのは、両面を接続しつつ部品の足も挿せるというのが本来のスルーホールなんですが、ハトメでやると手間が掛かるし、2.54 mmピッチで並べるのはちょっと窮屈です。

ちょっと伏線になりますが、スルーホールといえばサンハヤトのスルピンキットというのがあります。

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薄い金属のパイプにはんだが充填された棒のようなものを、太いシャープペンシルのような道具でスルーホールにしたい孔に挿します。前述の棒は等間隔のくびれがついており、1区画だけ基板に残して折り取ります。1区画は基板の標準的な厚さ1.6 mmよりも長くできていて、それを専用のオートポンチで叩くとリベットのように両端がつぶれて固定されます。最後にはんだを吸い出すと薄い金属パイプが両面の銅箔をつないでいるというものです。

実際やってみるとけっこう面倒です。まず、下孔の直径がへんてこな値なので、専用のドリルが付いてきます。これは基板加工機に使えないので、基板加工機では細めの孔をあけておき、小さいボール盤で開け直さなければなりません。また、中のはんだがけっこう粘っこく(真空ポンプ式のはんだ吸い取り器がないので)容易に吸い出せません。

そんなわけで、両面を接続し、且つ部品の足を通すという目的ではスルピンキットも使っていません。基板1枚あたり100箇所や200箇所程度なら錫めっき線で黙々と接続していきます。ただし、部品の足とは別の場所に両面をつなぐ孔を開ける必要があるので、基板のレイアウトがより難しくはなります。

鳩歩堂は高周波(といっても200 MHz程度までではありますが)では0.8 mmのハトメを使ってベタアースとの間の接続を取る場合があります。

そして、先日の記事に対するたまごさんのコメントで話題に出た、表面実装形のICの裏面に露出しているパッドの接続に利用しました。鳩歩堂が使ったのはAD9952というDDSのパッケージで、48-Lead Thin Quad Flat Package with Exposed Pad [TQFP_EP]というそうです。

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底面の正方形のパッドは接地しなさいということになっています。産業的に製造するならクリームはんだを印刷しておいて加熱炉で実装するでしょうが、1個作るには困ります。増してスルーホールができないので困ります。いろいろ思案した結果、次のようなやり方で実装しました。

パッドの真下にあらかじめ2φのハトメを打っておきます。TQFPは四方の足よりパッケージ底面の方が少し浮いているので、ハトメのフランジ部分は金槌でよく叩いて平たくしておけば足が浮くことはありませんでした。ICのパッドとハトメには薄くはんだを乗せておきます。TQFPの位置を合わせたら四方の足の何箇所かを仮付けします。その後裏からハトメをコテで加熱して少しはんだを流し込んでやると、IC裏面のパッドとハトメが接続されます(たぶん)。最後の部分で「たぶん」となるのがなんだか不安ではありますが、炉で加熱しても「たぶん」であることは同じでしょう。

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上の写真には左側にAD9952が、右側にFPGAのSPARTAN-3が実装されています(裏から見ています)。AD9952の裏面のパッドに接続された、はんだまみれの2φのハトメが見えます。

SPARTAN-3も今回はじめて自家製基板に実装しました。電源が3種類(1.2 V, 2.5 V, 3.3 Vだったと思います)に加えてグラウンドも配線しないといけないので、両面基板では無理なんじゃないかと思いながらも、なんとか配置することができました。こちらはスルピンキットを主に利用しています。信号線の裏表の接続は面積を節約するため0.3φの孔に錫めっき線で接続しています。こんな細い孔でも開けられるのは基板加工機が自動でやってくれるおかげですね。外部からSPARTAN-3のすぐ側に50 MHzの水晶発振器を置いてクロックを与え、SPARTAN-3内部のPLLで200 MHzに上げて使いましたが、ちゃんと動作してくれているので、この程度の基板でいけることがわかりました。

ところで、裏面パッド付きのQFNパッケージの場合、四方に足が生えていないので、パッケージ本体と端子の高さが同一面になるだろうと思います。ハトメを使うとハトメのフランジの分だけパッケージが浮いてしまって端子がはんだ付けできないかも知れません。フランジのぶんだけ座ぐりをすればいいのでしょうが、ますます難しくなりそうです。

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