電源回路のグランドパターン

とてもリプルの少ない電源回路を設計したので、基板を設計して計測装置に使用したところ、使用者から計測結果に正体不明の100Hzのノイズが含まれているという苦情が来ました。これは実際に経験したことです。電源基板のグランドパターンがまずかったのです。後になって参考書をよく見るとちゃんと書いてある本もありました。もっと強調して書いてくれればいいのに、などと言ってみても八つ当たりというか負け惜しみというか。そこで、鳩歩堂ブログでは一つの記事としてくどいくらいに書いておきます。

最初の図を見てください。
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電源トランスがあって、二次側を整流してコンデンサで平滑し、ドロッパー型(シリース型)のレギュレータで安定化したとします。グランドラインはNGと書いたところに接続してはいけません。

平滑コンデンサには関東では100Hz、関西では120Hzの脈流が流れており、NGと書いた範囲のパターンもゼロオームではありませんから、100Hzまたは120Hzのリプル電圧降下が発生しています。レギュレータの基準と異なる位置にグランドラインを付けると、レギュレータの性能が良くてもリプル電圧を拾うことになります。

次の図は基板を作る時に気をつけたいポイントです。
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基板内の回路は上記の注意を守った位置にグランドラインが接続されています。

ところが、基板のグランドパターンが筐体に電気的に接続される場合、NGの位置に接続されているとやはり問題が生じる危険があります。同軸コネクタのグランド側は装置のパネルと絶縁されていない場合が多いですが、プリント基板のグランドパターンや装置内の配線よりも、筐体やパネルの電気抵抗の方が遙かに小さい場合が多いため、筐体とパネルを通してリプルが供給されてしまいます。

同軸コネクタが絶縁タイプだったり、同軸コネクタは使ってない場合など、問題が無いように見えることがあります。筐体の電位の方が100Hzなり120Hzなりで振れているのですが、ちょっと気が付きません。しかし、ノイズやリプルを減らそうとして筐体を網線か何かでしっかりアースすると、かえってリプルが顕在化してしまいます。

ちなみに、100Hzや120Hzのノイズが出ている場合は安定化電源周りが疑わしいです。ハイインピーダンスな回路が電源からの電界を受けている場合は50Hzか60Hzが出るはずです。そういう場合はどこかシールドが悪いか、シールドボックスのアースが接続されてないというようなことがあり得ますから、アースをしっかり、という対策で治る可能性もありますが、電源ラインの2倍の周波数が出ている場合は全波整流の後しか考えられません。アースをしっかりしたらリプルが増えた、という場合はほぼ間違いないと思います。

さて次の図は応用編です。
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センタータップ付きのトランスを使い、1個のダイオードブリッジで正負の電源を作る場合です。ここまでは間違いは犯しにくいのですが、基板のパターンでは失敗する危険が高まります。
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回路の対称性が良いため、トランスのセンタータップから右端の"GND"の位置までどこでも筐体に接続して良いような気がしてしまいませんか? とくにトランスが基板に搭載されている場合、トランスのケースを基板のグランドパターンに接続し、すぐ近くに出ているセンタータップもそこに接続したくなりますが、それはいけません。トランスのケースとセンタータップを接続してもかまいませんが、それらは筐体に接続されないようにしなければなりません。

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  • 電源の接地パターンのミス

    Excerpt: 計測用Qhodo検波器の電源の接地パターンに一部ミスがあり、そのせいで電源電圧に100Hzの変動が乗っていました。。 Weblog: 鳩歩堂の電子工作館 racked: 2012-01-23 23:20