プッシュプルクラップ発振器

前の記事でクラップ発振器の図を載せませんでしたから、今回コルピッツと一緒の図にまとめてみます。

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(a)はコルピッツ、(b)がクラップです。コルピッツとの違いはコンデンサが1個コイルと直列に入っていることです。(c)のように並列のコンデンサがあるのは何と呼ぶのか知りません。知りませんが、前回の趣旨から言えば大同小異といったところです。

さて、クラップ発振器というのを最初に知ったのは1985年頃に買った本で、薄緑のカバーの小さいソフトカバーのシリーズの中のPLLシンセサイザを扱った本でした。VHF帯のVCOで、FM受信機の局発に使う目的の発振器だったと思います。クラップ発振器だと書いてあったのでそう思っていましたが、下図のような回路です。

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この回路図を見るとLに直列にC2が入っていますが、パラにC1も付いています。私はクラップ発振器の定義を知らなかったので、C2は、これが無ければトランジスタのバイアス電圧が掛からないという都合で入れただけだと思い、クラップ発振器というのは最初の図の(c)のようなものだと思っていました。実は前の記事を書くためにクラップ発振器について調べるまでまでそう思っていたのでした。

そんな呼称の話はここまでとしましょう。それよりも、この回路の特徴は、バリキャップで発振周波数をチューニングするようになっていて、2個のバリキャップを逆直列に接続してある点です。これは、発振電圧がチューニング電圧に対して相対的に大きい場合に電圧対容量の非線形性を相殺しようという意図です。チューニング電圧が発振電圧に対して十分に高い領域だけ使っていれば良さそうなものですが、バリキャップはチューニング電圧が低い方で容量変化が大きくなるので、VCOの可変範囲を広くするにはチューニング電圧が低い方まで使いたく、そうすると上記のような工夫がしたくなるということだと思います。バックトゥーバックダイオードと呼ぶと書いてあったように記憶しています。

ところが、上図の使い方だと上下のバリキャップにかかる発振電圧が非対称なので、対策が不完全という気がします。バリキャップだけバランかトランスで平衡電圧がかかるようにする、なんていうのは考え物で、いろんな寄生容量や寄生インダクタンスを抱え込みそうです。こういうときはやっぱりプッシュプルがいいでしょう。バリキャップ周りだけでなく対称性が向上します。

そこで考えられるのが次の図。

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素直にクラップ発振器を向い合せにすると(a)のようになります。真ん中に水晶振動子または直列共振または並列共振と描いてありますが、定義通りのクラップ発振器は直列共振です。バリキャップは示してありませんが、どこに付ければいいかすぐにわかると思います。

(b)は両側のアースにつながっているコンデンサを1個にまとめてあります。こっちの方がバランスが良くなるようです。

次の図はこれが発展した80MHzのVCXOです。実際にこれを使った装置はちゃんと動作しています。

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この回路はプッシュプルクラップ発振器(と呼んでいいのかどうか)で40MHzの3次オーバートーン水晶振動子を発振させ、両側のトランジスタのコレクタ電流を合成することで2逓倍して80MHzを得るというものです。

発振回路はT25-10コアを使ったコイルを追加して基本波周波数では発振が成立しないようにしています。このコイルと30pFのトリマとバリキャップで並列共振回路を形成しますが、40MHzで適度の容量性を持つように調節すれば発振します。というか、具合良く発振するように調節すれば、たぶん容量性になっているだろうと思います。

両側のコレクタ電流はまとめて1個のベース接地になったトランジスタのエミッタに入力され、80MHzの共振回路でフィルタされて出力されます。電源にパスコンが描いてないのに今気づきました。

LEDはバイアス電圧を得るために使っているだけなので、抵抗で分圧するのでも十分です。

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